それぞれが背負う大飯原発のシガラミ

記事から意見を並べてみる。

関西電力は、

関西電力の大飯原発(福井県おおい町)が再稼働すると、関電管内の今夏の電力需給は再稼働しない場合の14.9%の不足から、わずかにプラスになるとの試算を同社がまとめた。今夏の電力見通しを話し合っている政府の需給検証委員会で10日示した。

大阪知事は、

松井一郎大阪府知事は10日、「(大阪府市には)『再稼働しても足りない』という話だったのに、今度は『足りる』という見解がでた。何を信じていいのか」と批判した。

福井知事は、

「政府が全力を挙げて対応する姿勢が見られない」と批判した。安全規制の確立や中長期的な原子力政策の方向性も含め、「野田佳彦首相自身が先頭に立って心構えを示してほしい」と強調した。

おおい町長は、

「国の覚悟が見えてこない。再稼働の是非を慎重に判断したい」と述べ、国が原発の安全性とエネルギー政策を明確に示さない限り、再稼働を容認しないとの考えを示した。

一部に責任逃れのような発言と受け取れなくもないのもあるが、それぞれの立場ってのがあるのだろうな。

もし、政治家とか世間体とかシガラミを脱ぎ捨てて個人として発言できるとしたら、彼らはどんな見解を示すのだろうか。

[報道]

朝日新聞社デジタル:大飯再稼働で電力不足14.9%から0%に 関電が試算 – 関西ニュース一般

[参考]

朝日新聞デジタル:関電の需給見通し「何を信じれば」 大阪府知事が批判 – 経済

時事ドットコム:再稼働問題「首相が先頭に」=福井知事が要望

大飯原発:「再稼働、国の覚悟が見えない」おおい町長苦言- 毎日jp(毎日新聞)

駄々っ子なんていう表現は気持ちよいものではないな

気に入らないからと揶揄する発言を行っていったい何が進展するというのだろう。

相手に求めるだけの一方的な要求が何を生み出すというのだろう。

関電の報告を指摘するにしても、双方で歩み寄る努力をしているのだろうか。

[報道]

福井・大飯原発:再稼働問題 関西広域連合委、夏の節電でPT設置 知事「駄々っ子のよう」、関電に戦略要求 /滋賀- 毎日jp(毎日新聞)

[参考]

大飯再稼働:「原発か節電か」橋下市長が住民に選択訴え- 毎日jp(毎日新聞)

科学的知見のない大飯安全宣言

どんな検証報告や統計データを参考にしたのかは不明だが、一切の分析を考慮しなかったというわけではないだろう。

ただ、それらを踏まえても、政治的判断を優先して安全としたということか。

政府として意図する本当の理由を指し示すことをせず、指摘されると崩れ去る脆弱な安全宣言を発表することを選択したと。

何をおいても政治的判断が優先されたのならば、橋下氏から提出された8提案も受け取ったという実績を作るだけで、内容の議論まで及ぶかは怪しくなる。

神戸市が8提案の検討を進めているが、途中経過では一部の提案は支持しない模様。

それは、それぞれの立場というものを反映してのことだろう。

大飯原発の再稼動を進めるのならば、8提案を検討して、そこに国としての立場を反映して欲しいものだ。

[報道]

橋下市長「国民はだまされるな」…大飯安全宣言 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

大飯安全宣言、絶対おかしい…8提案の橋下市長 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

[参考]

大阪市の全原発廃止案、神戸が共同提案見送りへ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

大飯、京都・滋賀知事から理解得られず…経産相 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

政府と民主党の見解が不一致というより混乱というべきか

大飯原発以外は夏以降としていたが、数日と経たずにもう見解が分裂しているという。

伊方原発にしても反対派は存在するわけで、そんな伊方原発に大飯原発と比べてどんな優位性を見出したのやら。

前原氏に問いただす、というより、仙石氏に質問したほうがよいのだろうな。

[報道]

時事ドットコム:伊方原発再稼働、現組織で=政府・民主内に推進論-大飯の難航を懸念

[参考]

大飯以外の原発再稼働、手続きは夏以降と経産相 : 電力 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

伊方発電所 – Wikipedia

大阪府市エネルギー戦略会議のがの再稼動8条件を政府へ提案

8提案とは、第5回大阪府市エネルギー戦略会議で議論された8条件のこと。

大阪市のホームページには、大阪府市エネルギー戦略の会議内容が記載されていて、そこで公開されているPDF資料『(追加資料)原発再稼働に関する八条件』で8条件が確認できる。

【原発再稼働八条件】

以上の「根本的に欠落している論点」を踏まえた上で、次の「八条件」を満たすことが原発再稼働の前提条件であると考える。

  1. 国民が信頼できる規制機関として3条委員会の規制庁を設立すること
  2. 新体制のもとで安全基準を根本から作り直すこと
  3. 新体制のもとで新たな安全基準に基づいた完全なストレステストを実施すること
  4. 事故発生を前提とした防災計画と危機管理体制を構築すること
  5. 原発から100キロ程度の広域の住民同意を得て自治体との安全協定を締結すること
  6. 使用済み核燃料の最終処理体制を確立し、その実現が見通せること
  7. 電力需給について徹底的に検証すること
  8. 事故収束と損害賠償など原発事故で生じる倒産リスクを最小化すること

この資料には、『そもそも論』という条項も記載されている。

【そもそも論】

現在、政府が原発再稼働を検討する以前に、根本的に欠落している論点があるので指摘しておく。

  1. 「次のフクシマ」級の原発事故が起きた場合には、日本を滅ぼすという危機感が欠けているのではないか。
  2. 政府や国会に設置された事故調査委員会の報告も行われておらず、原発事故原因が究明されていない状況では、再稼働の検討はできないのではないか。
  3. 原発事故は当事者の東電だけでなく、原子力安全・保安院と原子力安全委員会には「安全規制の失敗」が免れないのではないか。だとすれば、現在の再稼働の手続きは、いわば「A級戦犯」が進めている構図にならないか。
  4. 原発が十分な安全性を持つかどうかは、信頼に足る専門家が客観的・中立に判断すべきであり、政治家がそれを判断するというのは「間違った政治主導」ではないか。

非常に明快であり、理解が容易い論点。

先の『原発再稼働八条件』が提案できたのは、これら見解を議論の出発点に定めていたからだろうと納得できる。

停止中の原発は大飯原発だけではない。例えば、島根原発では、視察といった動きがみられる。

島根原発に限らず、原発再稼動は、停止中の原発すべてに関わる議論だ。

根拠がよくわからない安全安心を連呼する手法と比べるまでもないが、これらを論点として進めることの方が、よほど現実的な再稼動議論といえる。

[報道]

橋下市長:大飯再稼働で8提案 政府説明で上京へ- 毎日jp(毎日新聞)

[参考]

大阪市市政 大阪府市エネルギー戦略会議の開催概要

時事ドットコム:大阪の提言精査=藤村官房長官

時事ドットコム:21日に島根原発視察=平井鳥取知事

大飯原発の再稼動協議に議事録未作成

大飯原発再稼動の政治判断を下す重要な協議なはずだが、今回も議事録は未作成。

議事録がないということは、誰が何を根拠にどう判断したのかという経緯がまったく不明ということで。

以前にも会議の議事録が作成されていなかった件に関して野田首相は、

原子力災害対策本部が議事録を作成していなかった問題について「記録を残すという認識が不十分だった。誠に遺憾だ」

という発言を行った。

いったいどの辺りを遺憾と考えていたのだろう。

[報道]

大飯再稼働:閣僚会合での協議「議事録なし」- 毎日jp(毎日新聞)

[参考]

政府・民主三役の議事録は「ない」 民主党の輿石東幹事長 – MSN産経ニュース

【参院代表質問】「記録残す認識、不十分だった」 議事録未作成問題で首相 – MSN産経ニュース

西川知事『電力消費地に対するリスク共有』に配慮必要と橋本市長

枝野経産相と会談後に西川福井県知事が発言した『電力消費地に対するリスク共有』話。

その発言に対して橋下大阪市長は、

橋下市長は西川知事の提案について、報道陣に「大変有意義。電力消費地は今まで(原発立地自治体に)お世話になったことを認識し、配慮しないといけない」と評価。
一方で、「電力消費地で受け入れるとなれば反対運動が起きるかもしれない。西川知事はそれをわかった上で発言しており、うわべの議論はやめようとの意思の表れだ」とも語った。

流れにあわせながらも自己主張を絡めての発言。

大阪市は再稼動反対の立場。自分の主張だけを主軸にするとただの反論となっただろうに、他力をとても上手く活用している。

[報道]

橋下市長「電力消費地は配慮しないといけない」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

[参考]

橋下氏らの説得を…大飯原発再稼動で福井県知事 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

大飯再稼働:河村市長が批判 政府に「ハザードマップを」- 毎日jp(毎日新聞)